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13.終声の子音字について
13.終声の子音字について
なぜ「該当する子音字」が一つの終声に対して複数個あるのか

鼻音

 子音で終わるパターン、つまり終声の発音自体は、鼻音 [ m ] [ n ] [ ŋ ] / 口音 [ p ] [ t ] [ k ] / 流音 [ l ] の七種類しかありませんが、それをハングルで書き表すと、複数の書き方があることになります。同じ読みで複数の綴りがある場合すらあります。
[ pit ] :빗 櫛 ・ 빚 借金 ・ 빛 光 )

理由の一つは、字をかえて書かないと、見た目で意味を取りにくくなるということがあります。
また、◆発音の特効薬 -【「綴り」と「読み」を一致させるポイント編】で説明している「終声の初声化」という大切な発音上の現象にも関係しています。

二文字の終声の子音字

 終声の位置に子音字が二文字あっても基本的に片一方しか読みません。両方一度には発音できません。

では、どちらを読めばいいのかですが、どちらの字を読むのかは組み合わせによって決まっています。表のように一覧表にすることもできますが、まずは単語毎に覚えるのが簡単だと思います。
あまり多くはありませんので、ある程度この種の単語を覚えたら、もう一度この表をご覧ください。
  • [ m ]  ㅁ | ㄻ
  • [ n ]  ㄴ | ㄵ | ㄶ
  • [ ŋ ]  ㅇ
  • [ p ]  ㅂ | ㅍ | ㅄ |  | ㄿ
  • [ t ]  ㄷ | ㅌ | ㅅ | ㅆ | ㅈ | ㅊ | ㅎ
  • [ k ]  ㄱ | ㄲ | ㅋ | ㄳ | ㄺ
  • [ l ]  ㄹ |  | ㄽ | ㄾ | ㅀ
ちょっと一言
 上の表をご覧になってお気づきになったでしょうか。終声の子音字としての [ p ][ l ] の二通りがあります。
「 踏む 밟다 [ paːpʔta ] 」ならば [ p ] 、「 여덟 八つ [ jɔdɔl ] 」ならば [ l ] です。
あまつさえ「 踏む 밟다 [ paːpʔta ] 」は、 [ paːlʔta ] と言う朝鮮語話者もいます。かててくわえて、 [ paːlpʔta ] のように両方発音されることもあります(民謡など)。
いささかレアなケースを挙げましたが、やはり基本的にはどちらか片方がメインです。

 ここでしつこく迫ります。
なぜ片方しか読まないのに二文字書くのかですが、後ろに母音が来た時は、両方発音されるため、表記の上でも二文字を残しているとお考えください。詳しくは「終声の初声化」をご覧ください。

 言語というか言葉は、あくまでも「音」と「意味」が先。「表記」は後付けの理屈です。だからこそ、字の読み方を覚えると「音」と「意味」を覚えられるのです。
ただし、外国語としての言語に限ります。母語は先に「音」と「意味」を覚えるはずです。また、「音」と「意味」から覚えた外国語は総体として見れば、おそらくごく狭い範囲のことだけ、あるいは覚える効率が良くないと思われます。「音」からも「表記」からも、両方のチャンネルから同時に覚えていくのがよろしいかと思います。耳で聴いて覚えた単語は書いてみる、目で見て覚えた単語は手で書いて口に出して言ってみる。

 誕生からほんの数百年余りのハングル文字。まだまだ若いハングル文字を使う朝鮮語はこれが可能です。同じ「子音字−母音字」の文字体系を使っている、例えば英語あたりではなかなか困難なことになるでしょう。上達の近道、決め手はこれです。

以上が【発音の特効薬 − 基礎編】の結論で、「 踏む 밟다 」には困ったなあというのが管理者の感想です。

引き続き 【発展編】にお進みください。
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