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第7回
「近肖古王」
第7回
「近肖古王」

テレビから離れてお読みください。ー数倍楽しむテレビの韓国語− 『 KBS WORLD Guide 』をお読みの皆様、こんにちは。または、こんばんは。今月は『近肖古王 근초고왕[ クンチョゴワン ]』から。
ここ数年韓国で流行っているピュージョン[ 퓨전 fusion ](フュージョン)時代劇です。時代は 4世紀中葉から後半にかけて、場所は百済、主人公はタイトル通り、百済第 13代の王である近肖古王。

 そもそもこの時期は、はっきりわからないんですね。日本書紀や中国の歴史書などから類推せざるを得ない部分が多く、正確なところが掴み切れません。当時の言葉なんかもわかるわけないのですが、今回はそんな時代劇の語尾を見てみます。

百済はいかなる国でございましょうか。
백제가 어떤 나라이옵나이까?
[ ペクチェガ オットン ナライオムナイカ ]

 韓国語を習うとまず最初に覚える「です、ます」の言い方が「 ‒ㅂ니다 / ㅂ니까 [ ムニダ /ムニカ ]、-습니다 / 습니까[ スムニダ / スムニカ ]」。감사합니다.[ カムサハムニダ. ]、고맙습니다.[ コーマプスムニダ ]、안녕하십니까?[ アンニョンハシムニカ ] などは馴染み深いですね。

 この -ㅂ니다 / -습니다 という文末の語尾は、折り目正しい、形式的な局面で現代でもよく使われていますが、本来かなり格式張った、がちがちに固い雰囲気を持っていたようです。たとえば、王様に何か申し上げるような場合です。時代劇にはこの -ㅂ니다 / -습니다 の元の形がバンバン出てきます。よく耳にするのは「恐悦至極にございます。황공하옵나이다.[ ファンゴンハオムナイダ ]」「こちらにございます。여기 있사옵나이다.[ ヨギ イッサオムナイダ ]」あたりでしょうか。

 -옵 / 사옵-[ オプ(オム) / サオプ(サオム)]は美化または謙譲を表す語尾、-나아다 / 나이까[ ナイダ / ナイカ ]は丁寧な終止形の語尾です。合わせて ‒옵나이다[ オムナイダ ] ・ ‒옵나이까 [ オムナイカ ] ・ ‒사옵나이다 [ サオムナイダ ] ・ ‒사옵나이까 [ サオムナイカ ] 。まあ、とにかく格調高い。「~でござりまする」てな感じですね。これが現代語では縮まって -ㅂ니다 / -습니다 になってるわけです。ほほう、いいこと聞いちゃった。

 -나아다 単独で使われることもあります。「王のお呼びによりまかりこしました。어라하의 부르심을 받고 왔나이다.[ オラハエ プルシムル パッコ ワンナイダ ]」。어라하[ オラハ ]は百済での王の呼称ということですから、入れ替えれば軽めのギャグとして使えそうです。社長のお呼びによりまかりこしました、とか。ふざけるなと怒られても責任は持てませんが。

 さて、最後になりましたが 2011年もよろしくお願い申し上げます。새해 복 많이 받으시옵소서.[ セヘ ボン マーニ パドゥシオプソソ. 新年の福を多大にお受けになられますよう ] 。おや、ここにも 옵 [ オプ ] が。-소서[ ソソ ]は丁寧な命令の古い形です。ふつうは 새해 복 많이 받으십시오.[ セヘ ボン マーニ パドゥシプシオ ]で十分ですよ。

(『 KBS WORLD Guide 』2011年1月号掲載分より転載)

初級までの朝鮮語・初級から先の朝鮮語 文・イラスト ◉ 白宣基 ( 백선기 ペク・ソンギ )
韓国語学習サイト「初級までの朝鮮語・初級から先の朝鮮語」の管理者、韓国語クロスワードパズル作家、在日本韓国YMCA韓国語講座主任講師。少し的を外した視点がかえって的を射ているという授業を得意としている。
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